メガネのはなし

~ミスターナレッジの軽美学~

 外国ではメガネをかけていてカメラを一台下げていれば中国人、二台以下げていれば日本人と言われた昔があった。昔というのは、いまは外国人でもカメラをもっているのが珍しくない時代になったからである。
昔の人は目が悪くなったときどうしたのだろう。『メガネのファッション(1967刊)』を書いたリチャード・コーソンは、メガネは1287年にイタリアで発明されたとしてい る。2年後の1289年に書かれた、メガネに関しての最初の確かな記述といわれるサンドロ・ディ・ポポーゾの写本に「私は年なので弱っていてメガネがなければ読むことも書くこともおぼつかない、メガネは視力の弱った老人のために最近発明されたもの」と書かれているらしい。誰の発明かにはいろいろの説があるが、フロレタイン・サリナ・アルマートが本命のようだ。「メガネの発明者は世界に知らせたがらなかった」という記録がイタリアのある修道院に残っているというが、近視の修道僧たちが写本を読むためにメガネを大切に使っていたようだ。
1466年頃のフィレンツェではメガネは年齢別に分けられていて、30、40、45、50、60、65、70歳用があったという。

 日本にメガネを持ちこんだのは宣教師フランシスコ・ザビエルで1551年(天文20年)に山口城主の大内義隆に献上のためといわれているが、鼻に乗せて使うものだったから上手く使えたかと気になるが、つるつきのメガネは1727年にロンドンでつくられるまで無かったのである。

 メガネをアクセサリーと考えるとフレームとレンズの形が問題だが、メガネは外国人の求心的な顔を中心に発達してきたものといった心配はもう無用で、最近は驚くほど様々なものが店頭にある。ボストン、クイーン、ウェリントンなどというレンズの形の名前など知らない店員さんも多くなった。メガネは横顔も考えたほうがいい。鼻が低い時は傾斜をつ けると低い鼻がもっと低く見えてしまう。

いま紫外線が怖い。アメリカの皮膚科学会は「これまで紫外線の悪いことをいいすぎた」と言っているが、超音速機でもとぶようになると紫外線はいまより10%も多くなるという。白内障が話題になっているが、紫外線から目を守るようにしたい。そこでサングラスのお勧めである。
サングラスといえばレイバンがある。マッカーサーが厚木の空港を降りたときの金縁のサングラスだから、年配者はわかっても、若い方には馴染みがなく、スティーブ・マックイーンのレイバンが頭にあるかもしれない。何十年もデザインが変わらないのに売れているのには驚くが、レイバンはアメリカが軍用に開発したズボンの尻ポケットいれたまま座っても壊れないという頑丈なサングラスだった。今は日本人に合わせたサイズが作られている。

 1716年にヘルテルが緑色の防眩メガネを作った。その100年後にベームが青色を作っている。眼にはスモークが良いというが、長くかけていれば気持ちが沈むかもしれない。アンバーか青緑がいいが人間の眼は短い波長で見るほうがよいとすれば青緑になる。間違っても紫系のサングラスは避けるほうがいい。よほど良いレンズでなければ像がダブって見えたりして目に良くない。

あなたのメガネの重さは何グラムでしょうか。日本人が快適にかけていられるメガネの重さ(限度)は42グラムといわれている。

 日本のレンズは世界的に高い評価を受けているが、かつてはレンズといえばドイツだった。なぜそうなったかというのには理由があって、バルト海岸を通って外洋に出るドイツの船の船員たちが、海岸で海水浴をしている美女達を干渉しようとして、レンズメーカーに性能のアップを強く望んだため飛躍的進歩をしたという話がある。