音のはなし

~ミスターナレッジの軽美学~

世の中には良い音もあるが悪い音もある。たとえば雑音から逃げたい場合に、どうすればよいのだろう。音のスピードは毎秒340メートルだから時速では約1220キロになる。
これよりも早いスピードで走れば音に煩わされないのだが、理屈での話で、2~30秒の間に10キロは走れない。ジャンボ機だって時速900キロ程度のようだ。

クリスチャンでなくても賛美歌を耳にすると敬虔な気持ちになる。70ホーン以上の騒音は胃液の分泌を減らすといわれている。音はうまく使えばリラクセーション効果がある。
お馴染みのBGMが作業能率を高めるために考えられたものなのはご承知の通りだが、背景音楽と呼ばれたように主体性がないので環境音楽がつくられた。
古代エジプトでは音楽が魂の薬と言われ不妊症の女性に音楽を聞かせている。中世の舞踏病を治すためにも音楽が効果的だったようで「古代療法音楽タランテラ」というレコードがある。1944年にミシガン州立大学で始まった音楽療法はアメリカでは、音楽療法士という国家資格になっているが、日本では準国家資格であっても、非常に活発な研究が行われており良い結果が生まれている。音楽療法にはいろいろのテクニックがあるが、わかりやすいのはレコードによる方法で、クラシック音楽が使われることが多い。クラシックはジャズに比べて飽きがこないし、何度聞いても似た効果を生じさせることができる。
療法の場合は好きなものだけというわけにはゆかないが、美容的には美しいと思われる音楽に聴き惚れるのがいい。まずフェラーリの「マドンナの宝石」をお聞きになってはどうだろう。バレー音楽の「シェラザード」でもいい。
リラックスした時に脳波はアルファ波になるといわれている。リラックスさせるためには1/fのゆらぎがほしいのであるが、小川の流れ、そよかぜ、木の年輪や心拍など自然界で気持ちのよいものは横軸の周波数と縦軸のパワースペクトルの関係が1/fのゆらぎになるといわれる。


 音楽は楽しむものから精神への薬的な役割をもたせるようにということで、音楽の「楽」に草冠をつけて「薬」つまり音薬的なことがアメリカで言われ、NAM(New Age Music)が作られて、療法的、BGM的、自己開発的に使われているが、一番人気のスチーブン・ハルパーンは「私の音楽のリズムは呼吸に近い。それぞれの節の始めと終わりは長い深呼吸のリズムによく似ている」といっている。

麻酔のない時代にはファンファーレと同時に抜歯したといわれるように、近年BGMをいち早く採用したのは歯科医であるが、少し作業時間が長くなるという意見もある。理容で音楽を流した場合、施術時間は長くなるのだろうか、それとも手が早く動くのだろうか。

私自身が療法音楽に関係したのは戦争が終わってまだ間もない頃だった。その後、音浴を考えたりしたが、音楽というよりも「音」そのものの癒しの効果について考えることが多くなった。音楽療法と音によるヒーリングには相違があるようだ。音を癒しに使うのは紀元前3000年に遡るというが、組織的に音を使ったのはピタゴラスといわれている。