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単なる物知り的な知識ならば、辞書、百科事典、解説書で用事が足りるし、今時ならばウェブサイトでもおおよそのことは分かる。しかし、そのような知識は、誰しもが容易に得られ分かってしまうので、その価値はあまり高くない。価値は、世の中で限られていること、つまり稀少性と密接な関係がある。私たちが、より充実した生き方をするためには、基礎的な知識に加えて、稀少性のある知識を生み出すことが求められ、独自のものごとの見方、考え方、そして進め方を体得しておくことが大事である。
あるプロジェクト提案をするために企画書を作成するとしよう。すると上司から、あるいは客先から、「コンセプトが明確でないな」と指摘されてしまうことがしばしばである。この「コンセプト」なる言葉は日常的に良く使われるが、この言葉や考え方の意味を的確に説明しようとすると意外にむずかしい。概念と訳されても、何のことやらピンとこない。どのように考えたらよいであろうか。「コンセプトの対語は何ですか」という質問の答えを模索することがヒントになるが、答えはこの文章の後半でお示しする。
例えば、星の群れと星座のことを考えてみよう。夜空を見上げた時に星が沢山輝いている。星の大きさも輝きもさまざまであり、星の間には何の脈絡もない。星の群れから、いくつかの星の固まりを取り出し、線でつなぎ、北斗七星だとかオリオン座だとかの名前を付ける。これを星座という。星座には、しばしば物語が付け加わっており、私たち日本人にとっては、七夕の織姫、彦星などになじみがある。ある考え方(例えば、物語、シナリオ)から、個々に得られたデータ(例えば、星の群れ)をとらえると、あるまとまった構造(例えば、星座)が得られる。この「ある考え方」のことを「コンセプト」という。コンセプトのことを「コンテクスト」(文脈)、「モデル」(模型)、「システム」(仕組み)と言ってもほぼ同じ意味である。新しいビジネスモデルの提案もコンセプト勝負である。
日常会話で使われる「空気が読めない」発言の意味は、つかみ所のむずかしい「文脈や状況」が読めないということである。だから、空気が読めない人の言動は、ある文化的背景を持った集団の中においては浮いてしまい、いささか頓珍漢な言動になってしまい勝ちである。特に、日本のような「ハイ・コンテクスト社会」(空気を良く読め重視の社会)では、文字通りではなく、言外の意味の理解が欠かせない。アメリカに代表されるような「ロウ・コンテクスト社会」で育った住民にとっては、日本は理解するのが難しい国かもしれない。
ちなみに、コンセプトの対となる言葉は「パーセプト」である。パーセプトは広がりを持って得られたものであり、データに相当する。<データ・コンセプト・構造化>の三点セットを理解しておくと、少し賢くなったような気がするものである。そのためには、データ処理、理論化などの基礎学習が不可欠である。今回は、カタカナ表現が少し多くなり恐縮しているが、「コンセプト」は理解しておくと便利な言葉の一つなので、ご紹介した。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
