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「分かる」ことは、「分ける」ことであるとよく言われるように、込み入った状況を整理するためには、考えを分けて整理すると分かりやすい。整理方法には、二つに分類することから始まり、いくつかに分類することができる。多すぎてもいけないので、上限でもせいぜい五つ程度の分類が適度であろう。以下に二分類から五分類までをみてみよう。
二分類: 陰陽、多少、上下、左右、内外、前後などは、分かりやすい。日中と夜間などもその例の一つである。
三分類: 序論・本論・結論は文章の構成に用いられ、「序破急」は能楽の世界の言葉である。「はじめちょろちょろ中ぱっぱ。赤子泣いても蓋取るな」は、炊飯の段取りにまつわる教訓であった。
四分類: 起承転結は、漢詩の構成にみられる。二つの軸を指標にして分ければ、四分割表ができる。時間的変化(成長または衰退)と地域的差異(相対的な位置づけ)との二軸から地域の成長パタンを分析するのは、地域分析でよく用いられる手法である。
五分類: 戯曲の構成にみられ、導入・上昇・頂上・下降・終末の五段階がある。浄瑠璃の、発端・展開・爆発・反転・破局の五段階に相当する。
大衆芸能の一つである落語の構成はというと、まくら・本題・落ち(サゲ)の三段階が一般的である。まくらは、話に入る際の導入部であり、話し手と聞き手とが打ち解けるための時間である。今日の客筋はどのような人たちか。話し手がまくらを振りながら、聞き手に探りを入れ、一体感のある空気を生み出す。人間国宝の落語家柳家小三治のようになかなか本題に入らず、長いまくらを得意とする落語家もいる。まくらだけで本になっている位だからすごい。
噺の本題は、滑稽噺、人情噺、怪談噺など、古典新作を含めて数百もの出し物があるとされている。江戸・明治・大正初期頃の作品が古典とされているが、そのうちに昭和のものも古典に分類されるようになるかもしれない。
落語は、「落とし噺」といわれるように、「落ち(サゲ)」は重要であるが、落ちのない落語もある。落語では、まくら、本題と進み、最後にすとんと噺を落とすところに「落ち」の持ち味がある。よく考えるとわかるような「考え落ち」、ダジャレなどの「地口落ち」、まくらや本題であらかじめ落ちに相当する内容を組み込んでおく「仕込み落ち」など、各種の落ちの手法がある。落ちにより、噺家の落語が締まる効果がある。
では落語の「落ち」を、私たちの日常生活の「締め」に活かせないものか。次のような内容が相当するのではないだろうか。例示してみよう。
・業務報告の終わりを、「以上」などの言葉で締めくくれば、それ以下の文章がないことを示すので安心。江戸時代の手紙や証文などでは、「よって件(くだん)のごとし」(よって前記記載の通りの意)の文言は、終結の常套句だった。
・成果発表は、何が成果だったのかを、最後に強くアピールすること。
・会議の締めは、会議結果のまとめと次回開催予定の会議日の検討をしておくとよい。
・パーティーの案内状の最後の文言で、必ず出欠確認をすること。「どうぞ出欠の返事をされたし」を意味するフランス語の略である〈RSVP〉は、英語国では一般的な表現である。
・「画竜点睛を欠く」ことのないように、もう一歩の努力と工夫を。
・余分なことを言うと、それは「蛇足」になりかねないから要注意。
・飲むのが好きな人たちにとっては、「締めのラーメン」がないと落ち着かない。
・三三七拍子や一本締めは、締めの定番でもある。
日常の場面でもっと沢山の締めを考えつくこともできる。皆さんも日常生活における締めの大切さを再確認するとよいかもしれない。とにもかくにも、次の展開の可能性が期待できる言葉なり行動なり、前向きでプラス思考の締めで終わることが望ましいと思う。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
