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Men’s Life Style
金安 岩男

著者:金安 岩男
1947年2月に東京の下町に生まれる。
学部で経済学、大学院で地理学を学び、外資系情報企業、国立大学、私立大学での勤務経験を有し、研究、教育、研修などの各種プロジェクトを実施。地理学者として、計画実践、プロジェクト発想に取り組んでいる。海外諸都市の街歩き、相撲などを趣味に、発想のヒントをいつも探究中。社会的活動として、政府機関、地方自治体の各種審議会、委員会などの会長、委員などを務めている。
主な著書に、『時空間の構図』、『プロジェクト発想法』、その他多数。現在は、慶應義塾大学名誉教授、新宿自治創造研究所所長。

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1時間散策コースのお勧め
2017/06/30

2017/07/01

私は集合時間と集合場所をあらかじめ確定しないと落ち着かない世代に属しているが、近頃の若者はそうではないらしい。だが約束の時間は必ず守りたいもの。今回は、集合時間と集合場所に合わせての私の「1時間散策コース」の計画策定方法をご紹介する。

約束の時間は、ぎりぎり間に合わしてもよいし、早めに行って喫茶店で余裕の時間を過ごしても良い。何をやっても自由なことは勿論のことであるが、1時間程度の散策は、見聞も広まるし健康にも良い。私が良くやる手は以下の手順である。
1)集合場所を確認した上で、その集合場所周辺で見て回る価値がある、もしくは興味のある地域を検討する。
2)見どころを把握した上で、集合時刻の1時間から1時間半程度早目に現地に到着し、「歩いて見て回るコース」を計画する。計画案ができたら、予習し下調べをしておく。
3)歩くコースの出発地点に最も近い鉄道駅もしくはバス停で下車し、歩き始める。
4)歩くコースの終着点は、集合場所とする。

最近の実践例は次の通りである。親しいご夫婦と「築地で昼食会」をすることになった。夫婦同士なので四名の集まりである。レストランの予約は友人が担当。豊洲移転で今話題の築地であるが、私にとって築地訪問は久しぶりである。そこでかつて「築地居留地」(外国人居留地で、1870年に完成し1899年の条約改正まで存続)があった築地明石町界隈を歩くことにした。「築地明石町」といえば鏑木清方の美人画が有名であるが、選定した主な理由は、この地では明治時代に入ってからの近代化の出来事が多く、とりわけ教育関係の施設が多く立地したからである。例えば、慶應義塾を初めとする数多くの学校の発祥の地で、『解体新書』の翻訳がなされた蘭学ゆかりの地でもあり、学問に関連した場所である。そこで、久しぶりに行ってみたくなり、次のコースを設定した。

地下鉄日比谷線築地駅下車。旧築地川は、現在は公園になっている。芥川龍之介の生誕地(芥川は私の出身高校の先輩)、赤穂藩浅野内匠頭邸跡などの石碑が目に入る。中津藩奥平家の中屋敷では、杉田玄白らの翻訳作業が実施された。福澤諭吉による蘭学塾も奥平家の中にあったが、この地区は現在聖路加国際大学と国際病院になっている。青山学院の前身である海岸女学校、女子学院、立教大学、明治学院等々の学校、教会、アメリカ公使館跡、運上所跡(居留地の管理所)、指紋研究発祥の地、電信創業の地など、興味深い場所の連続であり、説明の掲示も多数ある。最後の訪問先は伊東忠太設計の東本願寺で、この寺院は古代インドの石造寺院様式で実にユニークなデザインで楽しめる。街歩きは、ピンポイントでその場所を探し当てる必要がある。なぜなら、道一本間違えたら、目的物が見つからないからである。簡単そうでなかなか難しいのが街の散策である。

散策途中の路上で、子供サッカー教室の会員証を拾ったので、近所の交番に届けた。子供サッカー教室の会場が、私の大学時代のクラスメート経営の会社内であることを知り、その偶然さに驚いた。集合時刻の5分前にレストランに無事到着。おいしい食事と共に、気の置けない仲良し四人組の話題は尽きることなく、お開きとなった。割り勘なのでお互いに気を使うこともなく、次回もまた奥さん孝行をしようとの暗黙の合意が成立した。ある日の築地での昼食会であった。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
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