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(2015/09/01)
久し振りに、真夏の京都に出掛けた。酷暑の中を歩き回るのだから、物好きと言われても仕方がない。旅行中に、中年男性が熱中症により救急車で運ばれる場面にも遭遇した。なぜこんな最悪の時期に京都まで出向いたのか。特別の目的を持たずに行き当たりばったりの旅をするのも楽しいが、今回は少しばかり目的のある旅であった。「幕末の京都」の個々の歴史の舞台に立ってみたかったというのがその理由である。ご存知の通り、幕末の京都でのさまざまな出来事は、その後の日本の国のあり方の分岐点ともなったのである。
まず足を運んだのは、東山にある「霊山歴史館」である。この歴史館は幕末専門の歴史館であり、幕末史ゆかりの展示品と解説により基礎的な理解ができる。幕末史全体をざっと知るのに大変便利な施設である。道路を挟んだ向かいには、「護国神社」があり、木戸孝允、坂本竜馬、中岡慎太郎などの幕末志士の墓がずらっと揃っている。観光客ならば訪れる定番の一つである「二条城」は、14代将軍家茂が上洛した際に入った所であるとともに、家茂は三度目の上洛の際にはここで亡くなった。この場所は、15代将軍慶喜が大政奉還の上表文を提出した場所でもあり、その大広間は教科書などでおなじみである。城の存在は、京都が城下町でもあることを再確認できる。京都の洛北にあたる「上賀茂神社」は、当時の孝明天皇が、攘夷祈願として14代将軍家茂を伴い行幸した神社である。いくつかの建物は、その行幸時に建替えられていることが説明文から知られる。かの高杉晋作が、家茂に対して、「征夷大将軍」なる言葉を発したことでも有名。因みに孝明天皇の墓は皇室ゆかりの「泉涌寺」にある。
河原町や高瀬川辺りは、佐久間象山の遭難地、坂本竜馬と中岡慎太郎が暗殺された「近江屋」、新撰組により長州藩士が殺された「池田屋」、坂本竜馬寓居だった「酢屋」など、ゆかりの場所が多い。多数の小説やテレビ・映画の歴史ドラマの舞台にもなっておりお馴染みの場所である。池田屋事件がきっかけで、長州藩による「禁門の変」が生じ、「蛤御門」の激戦となった。これがその後の幕府と長州の戦争につながる。新撰組ゆかりの場所と言えば、かつては農村部だった「壬生村」がある。現代ではテレビ化・映画化された浅田次郎の「壬生義士伝」などがあるが、「光縁寺」(山南敬助などの志士の墓あり)、「旧前川邸」(古高俊太郎をとらえ、池田屋を知るきっかけとなった所)、「壬生寺」(近藤勇などの碑)、新撰組壬生屯所だった「新徳寺」、「八木邸」(新撰組のリーダー芹沢鴨が殺害された所で、鴨居に刀傷が残る)、などが集中している。和菓子と抹茶付きで丁寧な説明が聞けるので、耳で聞く幕末史の感がある。
京都には何度か足を運び知っているつもりであったが、訪れる度に、京都が持つその奥深さを痛感する。見どころが数限りなくあるので、足を運びきれない所が出てくるのはやむを得ない。一日に二組しか客を取らない料理屋も次回に回すこととあいなった。今回は「幕末の京都」をテーマに歩いてみて楽しめた。次は、和歌や源氏物語で描かれた京都を見て歩きたいと考えているので、そのためには必要な作品を多数読まなければならない。すると、京都訪問はいつ実現できることやらと少し不安ではあるが、楽しむためには、少しばかりの努力は欠かせない。人生はまことに日々修行なりである。
(金安岩男 慶應義塾大学名誉教授)
